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音楽の捧げ物(湯川恵子)

今回の受賞者の面々は皆さん、かっこいい。映画のプロモーションか。と今ぶつぶつ思っているのが右端のチビな私、湯川恵子です。





観戦記での受賞は初めてで、しかも昔から尊敬する中平邦彦(原田史郎)さんとご一緒させて頂くことに舞い上がり、準備としてまず中平さんに電話しました。
「お好きな曲をリクエストして下さい」


私も幹事の端くれ、賞金でBGMを差し入れしようと企画したのだ。知り合いの音楽隊と幹事仲間を口説くのは成功。すると欲が出て受賞者それぞれにちなんだ曲にしよう、一番好きな曲をリクエストしてもらおう!


「いやぁそんなことは……勘弁してください受賞式に出るだけでも恥ずかしい……」
中平さんのお応えだ。素敵な照れ屋。
神戸のお宅で突然の電話に困惑している様子が目に浮かび、すぐ引き下がった私は音楽隊に『♪そして神戸』と送った。
札幌からみえる新井田さんのお母様と北海道新聞社にちなんでは、『恋のまち札幌』。


プロ棋士たちの好きな曲は将棋年鑑に載っているアンケートから取材した。
渡辺竜王『ディスタンス』
森内九段『バッハの主よ人の望みの喜びよ』
早水千紗二段『ブラームスの交響曲』


アメリカの梅田さんにはメールで伺ったら、日本の代理人岡田女史が選んでくれた。
「They can't take that away from me」
誰にも奪えぬこの思い。梅田さんの将棋へ熱烈なラブレターのような歌詞らしい。


さて当日、渡辺竜王から言われた。
「なんですかディスタンスって。キョク? 音楽の? 知らないですボク音楽って聞いたことないですよ。え、将棋年鑑で? それは誰かの間違いでしょう」


音楽を聞いたことないとはいかにも渡辺竜王らしいと思ったが、念のため調べ直したら年鑑13年版の”好きな歌と歌手”の項にこう回答している。
『モーニング娘→I WISH、倉木麻衣→Stand Up、宇多田ヒカル→Distance』


前年15才でプロ入りしたばかりの男の子だ。もし年鑑編集部のミスでないならば、家族が誰かアンケートに代筆なさったのだろうか。としてもわざわざ嘘や悪戯のはずもなかろうに、とにかく現在のご自分はその曲を聞いたこともないと思っている。さすが竜王ほどの人は、ブッ飛んでいると思いますねぇ。ちなみにその年の趣味は『音楽鑑賞、おしゃべり』です。


author:けいこ, category:ペンクラブ大賞, 19:22
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今西さん

歓談に入ってから、東京アマチュア将棋連盟の今西さんが短いスピーチをなさいました。


上京したての頃から新井田さんをご存じだという今西さん。この日は新井田優子さんに「ぜひ来るように」と言われてのご参加とのことでした。


長い長い付き合いの間に起きたことを話されたその端々に、新井田さんの急逝に対する無念さがにじんでいました。



(写真は岡松三三さんのご提供)


author:はくた, category:ペンクラブ大賞, 18:17
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森内俊之九段の好きな力士

森内俊之九段ともちょっとだけお話できました。たまたま直前にお祖父さんの京須行男八段が中野時代の将棋連盟で相撲を取っていたという話を本で読んだので、相撲のことを聞いてみました。


「ええ、私も好きでしたね。見るのも自分で取るのも好きでした。相撲と将棋、どっちをやろうかちょっと考えたりしましたよ」


好きな力士も聞いてみました。


「栃赤城が好きでしたね。え、知りませんか? 相撲の前には柔道をやっていたひとで、豪快な投げ技や、すごい技術の持ち主でした。あとは北天佑も好きでしたね」


栃赤城はYouTubeなどでびっくりするような勝ち方を見ることができますね。北天佑は私も記憶があります。豪快な相撲を取るひと、という印象が残っています。


森内九段の気風は重厚とか何とか言われますが、その奥底には…と、なんでも将棋とすぐに結びつけないほうがいいですね。



author:はくた, category:ペンクラブ大賞, 00:00
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ブラームスはお好き(後編)

交響曲の場合、演奏する指揮者やオーケストラによっても大分印象が異なってきます。早水女流二段にお気に入りの演奏も聞いてみたところ「カール・ベームが指揮したもの」とのこと。カール・ベーム(Karl Böhm, 1894-1981)はオーストリア生まれの指揮者で、世界のトップクラスのオーケストラやオペラ劇場で長年にわたり活躍した名指揮者です。もちろんブラームスも得意としていました。晩年にはウィーン・フィルと来日してNHKホールでブラームスを演奏したりもしています。来日と前後して同じ組み合わせで全集を録音していますので、早水女流二段は多分これをお持ちなのでしょう。


こんなことを聞くくらいだからよほどのマニアであろうと思われたようで、逆に「二番を聞くならどの演奏がいいでしょう」と早水女流二段に質問されました。えーっと、カルロス・クライバーの演奏が映像付きで残っているので、それがいいのではないかと思います。
カルロス・クライバー(Carlos Kleiber, 1930-2004)はお父ちゃんのエーリッヒ(この人も名指揮者)に指揮者になることを反対されていたそうで、クラシック音楽マニアの間ではエディプス・コンプレックスの典型と見なされています。几帳面に拍子を取るのではなく、身体全体で音楽を表現する、ちょっと踊っているようにも見える指揮姿で多くのひとを魅了してきました。


詰将棋の創作でも知られる早水女流二段のこと、こうした作品や演奏に霊感を得て、新しい詰将棋が生まれるかもしれませんね。

author:はくた, category:ペンクラブ大賞, 00:00
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ブラームスはお好き(前編)

余興に音楽の生演奏もありました。昨年末の将棋寄席に「女子将棋音楽隊」として出演なさったみなさまです。受賞者の好きな曲を選んで演奏してくれました。




棋士の方の分は過去の『将棋年鑑』から持ってきたのですが、早水千紗女流二段は「ブラームスの交響曲」。し、渋い。せっかくなのでご本人にどれがとりわけお好きなのか聞いてみました。


「やっぱり一番と四番ですね。二番の良さはまだちょっと分からないところがあります」


ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897)は全部で四曲、交響曲を書いています。どれもよく演奏会で取りあげられますが、その中でも第一番と第四番は他の二曲よりもやや人気があります。
ブラームスは交響曲を書くからにはベートーヴェンを超えなきゃイカンと思っていたらしく、おかげで第一番を書き上げるのに二十年近くかかりました。もちろんその間に他の作品を書いてはいますが、それにしたってえらく時間をかけたものです。ここまで時間がかかると、ふつうの人であればそもそも完成できないでしょう。第一楽章の冒頭からして、作曲者がかけた年月の重さがそのまま表に出てきたような厚い響きで始まります。

一曲書いて気が楽になったのか(その気持ちは分かるような気がする)、あとの三曲は比較的短期間に書き上げられているようです。第四番は作曲者本人も特にお気に入りだったとか。ちょっと古風な響きが特徴的です。



ちなみに女子将棋音楽隊は、恐らく色々悩んだ結果、第三番の第三楽章をアレンジして演奏なさいました。人生の秋を思わせる、渋くも甘い音楽です。これまたさすがの選曲眼。


author:はくた, category:ペンクラブ大賞, 00:00
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中平邦彦の情熱

観戦記部門で大賞を受賞した、原田史郎こと中平邦彦(なかひら・くにひこ)さんにお話をうかがうことができました。


原田史郎というペンネームはご親戚の名前をそのまま借りてきたものだそうです。中平さんは神戸新聞に長く勤めていたので、勤務先以外のところにも名前が登場する観戦記用にこの名前を使われたのでしょう。


受賞者あいさつで、中平さんはとにかくアマチュアの方に読んでもらえる観戦記でなければならないということを力説されました。この場合のアマチュアというのは棋力が初段に及ばないひとを指しています。
わざわざ観戦記を盤を使って並べる人がどれだけいるだろうか。内藤國雄九段に聞いたら「百万人に一人」という。そうだとすれば日本全国で千二百人しかいない。その人たちのためだけの観戦記ではいけない。中平さんの言葉には力がこもっていました。


author:はくた, category:ペンクラブ大賞, 00:35
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歓談に指導対局、そして景品

写真撮影も終わり、落語家でペンクラブ会員でもある三遊亭とん楽師匠の音頭で乾杯。




贈呈式では毎年歓談の時間中、指導対局が行われます。今年は中倉宏美女流二段と、大庭美樹女流初段にお越しいただきました。一杯やりながら指導対局が受けられる機会は案外少ないかもしれません。






そうそう、ちょいと順番は前後しますが、贈呈式の司会は会員の長田衛さんでした。「あっち亭こっち」の高座名で素人落語も演じています。




そしてペンクラブの集まり恒例の福引。今年は時間がないために番号による抽選は行わず、女性から先にほしいものを持っていっていただきました。




真っ先に選ばれたのはこちら。確かに貴重です。


author:はくた, category:ペンクラブ大賞, 20:28
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贈呈式風景

贈呈式は毎年最終選考委員による講評から始まります。今年は西上心太選考委員が受賞作一つ一つの受賞理由と選考過程を丁寧に取り上げられました。



西上選考委員にお願いしたのは木村晋介会長兼選考委員が欠席の予定だったということもあったのですが、木村会長はなんとか贈呈式の時間だけは都合をつけ、プレゼンターを務めてくれました。



木村会長はただ賞状を読み上げるのではなく、それぞれの受賞者に一言添えて賞を差し上げていました。何を言っていたかほとんど忘れてしまいましたが、湯川恵子さんに賞金を渡す時に「これで少し生活が楽になるね」と言っていたのはよく覚えています。


受賞者のみなさまを改めて写真と共にご紹介。


観戦記部門大賞、中平邦彦さん(観戦記のペンネームは原田史郎)。



観戦記部門優秀賞、早水千紗女流二段。


観戦記部門優秀賞、湯川恵子さん。



文芸部門大賞、梅田望夫さん(都合で欠席につき、受賞作の編集を担当された岡田育子さんが代理出席)。



文芸部門特別賞は故・井口昭夫さん。受け取っているのは女婿の高橋俊哉さん。



技術部門大賞、ご存じ渡辺明竜王(写真がぶれ気味ですみません)。



技術部門優秀賞、阿久津主税七段(当日は順位戦対局日につき、受賞作の編集を担当された鈴木健二さんが代理出席)。



技術体系賞、やはりご存じ森内俊之九段。



Web中継企画賞、株式会社北海道新聞社メディア局からは、同局編集グループ部次長の榊康幸さん。



功労賞、故・新井田基信さんは、御母堂の新井田優子さん。



続いては受賞者のスピーチ。それぞれに熱い思いの伝わるお話でした。個人的には、先人の功績と協力者に深い感謝を捧げていた森内俊之九段と、愛息基信さんの遺影を手に持ちつつ、感謝のことばを述べられた新井田優子さんのメッセージが特に深く心に残りました。新井田さんがマイクの前に立った時の拍手は、この日の数多い拍手の中でもひときわ暖かく響いていました。



最後に受賞者全員が写真撮影に応える時間を取り、贈呈式は終わります。さて、あとは食べて飲んでしゃべるだけ。

author:はくた, category:ペンクラブ大賞, 23:05
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贈呈式、無事終了

第22回将棋ペンクラブ大賞贈呈式は盛況のうちに無事終了いたしました。詳細はまた改めてご紹介いたします。ご来場の皆様、受賞者の皆様、関係者の皆様にウェブの片隅より御礼申し上げます。ありがとうございました。


author:管理人, category:ペンクラブ大賞, 01:34
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ペンクラブ大賞贈呈式

将棋ペンクラブ大賞の贈呈式が今週金曜、9月17日の19時から行われます。場所は例年と同じスクワール麹町です。最寄り駅はJR四ツ谷駅で、麹町口へ出てすぐそば。会費は八千円(女性は六千円)です。


受賞者の渡辺明竜王や森内俊之九段のほか、プロ棋士も例年多数いらっしゃいます。参加者全員に扇子や色紙、書籍などがもらえるくじ引きがあるほか、女流棋士による指導対局もございます。多くの皆様のお越しをお待ちしております。


贈呈式では棋士とお話する機会も貴重ですが、昨年は観戦記部門で大賞を獲得された、後藤元気さんとのお話が私にとっては特に印象的でした。受賞作の対局者の一人、深浦康市王位(当時)の将棋の特徴は一言で言うならどうなるでしょう、といういかにも素人らしい私の質問に対し、後藤さんは少し考えた後で「キャピキャピしている」と答えられました。深浦九段の将棋は「しぶとい」とか「粘り強い」といったことばで形容されることが多いと思うのですが、その逆を行くこの答え。棋士を知り、また棋士の将棋をよく知っているからこそ出てくることばですね。

author:はくた, category:ペンクラブ大賞, 19:28
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